事業報告
令和2年度事業報告
◆概要 ―重点事業の取り組み等―(406KB)
◆事業活動の状況(附属明細書)(900KB)
令和元年度事業報告
概要 ―重点事業の取り組み等―(453KB)
事業活動の状況(附属明細書) (1MB)
平成30年度事業報告
◆ 概要 ―重点事業の取り組み等―
1.地域福祉活動計画の推進
第4次地域福祉活動計画(以下「活動計画」という。)の中間年である平成30年度も、地域住民や地域の関係団体、NPO・ボランティア、企業などとの連携のもと、多様な福祉活動を推進するために、引き続き、担い手育成、活動の活性化や拠点・場づくりに向けて各種助成などに重点的に取り組むとともに、子ども支援の一環として、子ども食堂の運営等に取り組んでいる団体に対する助成をスタートさせたほか、企業の社会貢献活動を促進するためのセミナーの開催など、幅広い福祉活動の支援に取り組んだ。
なお、活動計画の推進委員会の設置については、現計画の評価方法及び次期計画策定の構成メンバー等、体制づくりの検討に時間を要したことから、立ち上げまでには至らなかった。
(1)地域福祉活動推進のための担い手育成の強化
地域福祉活動を強化していく上で、それを担う人材を育成することは、最も重要な取り組みの一つであり、各活動主体においても頭を悩ます課題でもあるが、今後の地域共生社会の実現の成否にも関わる取り組みとして、継続していかなければならない。次代のリーダー役を担う人材の実践力向上を目標に昨年度より開催した「地域のふくし応援塾」では、昨年度と同様に少人数制でテーマを絞ったプログラム構成で6回開催し、143名の参加があった。「中身が濃く他の人にも受講を勧めたい。」などの評価を得ており、今後も受講者の構成にも考慮しながら、地域毎での開催や内容の充実を図っていくこととしている。
また、ボランティア活動への幅広い参加を推進するため、区・支部事務所毎に地域ニーズをふまえた内容のボランティア育成講座を15回開催したほか、定例となっている中高生を対象とした「夏のボランティア体験会」や「シニアボランティア養成講座」など幅広い世代を対象にボランティア育成に取り組んだ。
昨年度の企業等へのアンケートをふまえて11月に開催した「2018企業の社会貢献・CSRセミナー」においては、49社、63名の参加があった。大学研究者による講演をはじめ、事例発表、グループに分かれた情報交換などを通して、地域と企業をつなぐマッチングの仕組みづくり、社会貢献・CSR活動状況の共有、ホームページや広報紙などを活用した広報支援など、今後本会が取り組むべき方向性を確認することができた。
子ども支援の取り組みとしては、今年度より子ども食堂等を運営する団体に対する支援を開始し、25団体に助成金を交付した。併せて、関係する団体も加えて「せんだい子ども応援団体ネットワークミーティング」を2回開催し、子ども支援に関する現状と課題の共有、支援団体同士の情報交換などを行い、各団体の円滑な運営に資するよう支援を行った。
(2)通いの場・集いの場づくりの推進
サロン活動は、住民同士の幅広いつながりや、住民による自主的な生活支援活動など社会参加の促進などに加え、参加者が気軽に交流・相談できる場としての機能も期待できることから、地区社会福祉協議会(以下「地区社協」という。)活動の大きな柱の一つとなっている。今年度も、「通いの場・集いの場充実事業」として、高齢者や障害者、子どもなどを対象としたサロン活動を小地域福祉ネットワーク活動助成の上限を超えて実施した69地区社協に対して追加助成したことにより、参加者の広がりや地域特性を活かしたユニークな企画によるサロン活動などに繋がった。
(3)地区社協活動推進の支援
地区社協の活動基盤をより強化するため、小地域福祉ネットワーク活動の推進などに対して各種の助成を継続するとともに、各区・支部事務所のコミュニティソーシャルワーカー(以下「CSW」という。)をはじめ区・支部事務所が中心となって必要な情報の提供や活動に関する相談対応など伴走型の地域づくり支援に取り組んだ。
なかでも、CSWと地区社協が密に連携し、地域の課題解決に向けた取り組みを通した地区社協活動の充実を図るため、今年度も区・支部毎に2か所のCSW協働推進地区を設定して取り組みを強化した。同地区では、CSWが地区社協と地域課題や達成すべき目標等を共有し、サロン活動や見守り活動の活性化、住民を対象とした研修の実施など、活動の充実に向けた支援を展開した。
また、地域における活動拠点は、関係団体間の連携促進の場としてだけでなく、 住民の相談や困りごとを受け止める場として、また、住民による課題解決に向けた話し合いの場としても期待されているが、その設置に対する助成については今年度は1地区に止まった。「地域の関係団体との調整」「場所の確保」「ランニングコストの捻出」などの課題があり、今後対応を検討していく必要がある。
(4)復興公営住宅のコミュニティ活性化に向けた支援
東日本大震災から7年が経過するなか、地域の関係者や関係機関及び支援団体とも連携しながら、引き続き被災者支援の活動に取り組んだ。
特に、復興公営住宅整備地域等において見守りや支え合いの取り組みを推進するため、活動助成金の交付をはじめ、地域のコミュニティ活動を後押しする「つなぐ・つながるプロジェクト」による自治会役員同士の情報交換会の開催やニーズに即した支援団体とのマッチング、支援団体情報や助成金情報などを掲載した事例集を作成・配布するなど、住民が主体的にコミュニティ活性化に向けて活動を継続できるよう支援を行った。
また、時間の経過とともに新たな課題も顕在化してきており、個別に抱える課題や孤立防止への対応が必要とされる被災者には、生活支援相談員が個別訪問を継続して行うとともに、CSWなどと連携しながら関係機関とも課題認識を共有し、被災者の生活再建の促進に向けた包括的な支援に努めた。
(5)災害時要援護者の支援体制の強化
地域においては、「個人情報の取り扱い」や「支援者の役割分担」などの課題により、災害時要援護者に対する住民主体の支援体制づくりがなかなか進まない現状がある。こうしたことから、今年度より地区社協や町内会、地域包括支援センター等が地域での支援体制づくりに向けた研修会を開催する場合、専門家を派遣し、また本会CSWも同行するなどの事業を開始し、小地域福祉ネットワーク活動と連動性のある災害時要援護者支援体制づくりの支援に取り組んだ。初年度要請があったのは4か所であったが、平時における災害時要援護者の支援体制づくりの必要性が再確認でき、今後開催地区の更なる拡大に努めていく。
2 多様化・複雑化する地域課題への対応
(1)地域包括ケアシステム構築への取り組み
住民を主体とした支え合い活動を推進するため、行政や市内各地域包括支援センターなどとも連携し、これまでの小地域福祉ネットワーク活動などをベースとした生活支援サービスの取り組みの拡充に努めた。また、「住民主体による訪問型生活支援モデル事業」に取り組む団体に対する研修や活動支援等の業務についても仙台市から受託した。
地域包括ケアシステムの構築に求められる多様な関係機関との連携・協働した取り組みは、本会がこれまでの地域福祉活動を通して培った実績であり、強みであることから、今後予定されている第1層生活支援コーディネーターの配置にあっては、このような本会の強みと併せてCSW機能が不可欠であることをふまえ、本会への配置に向けた提案を行ってきている。
(2)地域共生社会の実現に向けた相談支援体制の構築
10月から太白区エリアをモデルとして「多機関協働による包括的支援体制事業」を展開した。アウトリーチの手法により複合的な課題を抱える世帯への対応や地域での困りごとに直面している民生委員児童委員や関係機関などからの相談に応じるとともに、地域包括支援センター等の専門相談機関が相互連携して課題解決に向けた仕組みづくりに努めた。
これらモデル事業の実施を通して、個別の課題は地域の課題として捉え、包括的な支援体制を構築する必要性・重要性が改めて明確となり、また、区事務所を中心に相談機能の充実が図られ、関係専門機関との連携も強化された。
今後は、これらの実績を踏まえ、総合相談機能の強化をより一層進めていく必要がある。
(3)生活困窮者への支援
仙台市より生活困窮者自立相談支援事業などを受託している一般社団法人パーソナルサポートセンター(以下、「PSC」という。)とは、引き続き覚書を締結し、貸付相談や地域の関係団体との連絡調整など本会の持つ強みを活かしながら、本事業に携わる各支援団体と連携・協力するなど、主体的な関わりを強めることに努めた。
これまでPSCが中心となり生活困窮者支援を行っている関係機関・団体が参加する「生活困窮者自立支援会議」に出席し、相互の活動について情報交換を行ってきたが、今年度はさらに地域団体とのつながりを強化するため、生活困窮者支援に関わっている団体と地域の身近な相談窓口である民生委員児童委員との「生活困窮者支援ネットワーク推進会議」を新たに開催し41名の出席を得て、生活困窮者の実態、課題や支援方法などを共有し、今後の生活困窮者への支援のあり方について意見交換を行った。
また、生活協同組合連合会コープ東北サンネット事業連合との基本協定に基づき、各区・支部事務所を窓口として、生活困窮者及び被災者に対する食料支援事業(フードバンク事業)にも取り組んだ。
これらの取り組みから、生活困窮者個々のケースに応じた支援の必要性が関係者間で改めて共有され、今後幅広い支援団体同士のネットワークの構築が急務であることが確認できた。
(4)障害者理解促進事業の実施
仙台市の障害者差別禁止条例の施行を受けて、今年度から市民の障害者理解を促進するための事業にも取り組んだ。
企業向けの取り組みとしては、当事者を研修講師として派遣し理解促進を図る「障害理解サポーター養成講座」の開催について、市内事業所などに対して積極的にPRに努めた。初年度としては、11企業・団体において延べ17回開催し、441名の受講があった。他の事業所などからも実施したいとの声があり、次年度以降さらに多くの機会を得て事業実施に努める。
また、一般市民向けにも、盲導犬のデモンストレーションを取り入れた内容で開催し、12名の参加を得た。
(5)判断能力が十分でない方への支援
日常生活自立支援事業については、平成29年度に「あり方検討会」(委員長:大坂 純 東北こども福祉専門学院副学院長)を設置して、支援が必要な方に対し適切に支援を実施するとともに、今後の事業の望ましいあり方や安定的かつ継続的なサービスを提供するために必要な事項等について6回にわたり検討をいただき、12月に報告書がまとめられ答申を受けた。
報告書では、利用者の自己決定権・自発的意思の尊重を基本として支援関係者が一体となって支援を行うこと等、今後の本事業のあるべき姿についての提案があり、その内容については1月に仙台市に対して報告した。
成年後見制度については、平成28年の利用促進法の施行や制度への関心の高まりなどにより相談件数も大幅に増加してきている。11月には、制度周知のセミナーも開催し、175名の参加を得た。
本会は、成年後見サポート推進協議会の事務局を担い制度の円滑な活用を図るとともに、市民後見人養成研修を修了した候補者名簿登録者を対象とした継続研修及び個別面談等を行った。
また、現在受任中の市民後見人(年度末現在11名)については、本会が後見監督人を担い、適切な業務の実施に努めた。
3 指定管理施設における確実な事業推進
指定管理施設の管理運営にあたっては、公の施設として求められる役割を果たすことはもとより、本会の特性を活かした特色ある運営により、利用者に満足いただけるよう良質なサービスの提供と効率的な経営に努めた。
(1)高齢者関係施設(老人福祉センター、デイサービスセンター)
老人福祉センターでは、様々な趣味の教室の開催に加えて、併設するデイサービスセンターや地域包括支援センターをはじめ、近隣の小学校や児童館などとの連携を意識した運営にも努め、パワーリハビリ教室、認知症カフェ、世代間交流事業などに取り組み、生きがいづくりや介護予防を積極的に進めた。
昨年ボランティアセンターと協働して開催した「シニアボランティア養成講座」の修了生のなかには施設のボランティアとして活動される方もおり、また、車両の寄贈を受けた郡山センターでは、利用者送迎サービスの試行を開始し、大規模修繕のためほぼ1年間休館していた台原センターは、デイサービスセンターとともに9月からほぼ1年ぶりに再開した。なお、台原センターについては、次期指定管理者の公募に応募し、本会が引き続き指定管理者として選定された(指定管理期間:平成31年4月~令和4年3月31日)。
デイサービスセンターでは、新たな「生活支援通所型サービス」の運営に向けて併設の老人福祉センターと一体的な職員体制を整備し、台原及び郡山センターにおいて2月より順次サービスを開始した。経営環境としては、台原での1年間の休業の影響も含め総じて厳しい状況が続いており、引き続き職員一丸となって利用者の獲得など経営改善努力に取り組む必要がある。
(2)障害者関係施設(障害者福祉センター、ふれあいの家、ひまわりの家)
障害者福祉センターでは、施設見学会の実施や地域包括支援センター研修等での自立訓練事業の紹介など、利用者増に向けた取り組みを行った。今後も幅広く広報活動を通して利用促進に取り組んでいく。ふれあいの家では、利用者工賃の増額に向けて、椎茸栽培の本格実施に向けた準備を進めるとともに、自主製品の販路拡大に努めた。ひまわりの家では、利用者の特性に応じた班別活動により、外出の機会を増やすなど利用者のニーズに合わせた安定した施設利用及び社会参加の機会につながる活動を行った。
また、職員の資質向上を図るため、3センター合同の研修委員会において研修企画の検討を行い、全体研修として2回開催した。
(3)福祉プラザ、社会福祉センター
福祉プラザや社会福祉センターの運営にあたっては、市民や福祉団体の活動拠点としてのさらなる利便性向上を図るとともに、各種講座の開催、福祉情報の提供機能の強化等を通じて、地域住民の福祉に関する意識や関心を高める事業を行い、市民の福祉活動を支援した。
福祉プラザでは、毎月開催している認知症カフェの拡大版として、社会福祉に関する学習機会の提供を目的に認知症をテーマとした福祉講座を開催した。さらに障害者施設製品の合同販売会、若者を対象とした福祉の職場説明会、障害者施設や放課後等デイサービス事業所の作品を集めた障害者の合同作品展、1階ロビーでのミニコンサートや時季の作品展示などを実施した。
社会福祉センターでは、地域住民・団体等に会議や研修など活動の場を提供するとともに、宮城センターでは子育て世代が多い地域特性を踏まえた「おたがいさまの子育てサロン」、泉センターでは利用登録団体の交流や連携促進を目的に、実行委員形式で「センターまつり」などに取り組み、地域福祉団体等とのつながりづくりを意識し、連携しながら各種行事等を行った。
4 社会福祉法人改革への対応と経営基盤の強化
社会福祉法人改革の趣旨をふまえ、監査法人による「財務会計に関する内部統制の向上に対する支援」を受け、法人に求められる経営組織のガバナンス強化に取り組んだ。
また、社協だよりの発行等による広報活動や社協会員の募集活動等を通じ、市民や民間企業、福祉施設・団体等に対する社協活動への理解と参加促進を図るとともに、会費・寄附金等自主財源の確保に取り組むなど経営基盤の強化に努めた。
(1)社会福祉法人改革、内部統制の徹底
令和3年度から本会も会計監査人設置が義務付けられることを前提として、監査法人による「財務会計に関する内部統制の向上に対する支援」を2か年計画で受けることとし、初年度の今年度は主に法人全般と決算における統制状況について調査・支援を受け、改善が必要と指摘された事務・経理処理など数項目について問題点の把握と必要な見直しを行った。
また、市内社会福祉法人が策定した社会福祉充実計画について住民等の意見聴取の場となる「地域協議会」の開催運営については、市から業務を受託したところであるが、協議対象となる地域公益事業を実施する法人がなく開催実績はなかった。
なお、「社会福祉法人における公益的な取組」にかかる法人間連携による事業化については、他都市の情報収集に止まり具体の取り組みには至らなかった。
(2)広報活動、財源確保、人材育成への取り組み
本会をはじめ福祉関係者の事業活動や地域福祉活動を広く周知し、市民の理解と共感が得られるよう、「社協だよりせんだい」(年2回発行・各37万部)において各地域での精力的な活動内容や本会の事業を紹介するとともに、ホームページで最新の情報発信を行うなど広報活動の充実に努めた。
自主財源の確保については、地区社協や町内会をはじめ関係者の支援と協力を得ながら会員の募集を行い、また、企業や社会福祉法人等への働きかけを行うなど、会費や寄附の増強・確保に努め、ほぼ前年度と同程度の収入を確保できた。
人材育成への取り組みとしては、コミュニティソーシャルワークのスキルアップ研修をはじめ、階層・職種別やテーマ等に応じた内外の研修に積極的に参加させるなど職員の能力向上を図った。
平成30年度事業活動の状況【附属明細書】 (1MB)
平成29年度事業報告
◆ 概要 ―重点事業の取り組み等―
1 地域福祉活動計画の推進
第4次地域福祉活動計画の2年目となる平成29年度は、基本目標の一つである「一人ひとりの市民の参加を促進する」ため、地域住民や地域の関係団体、NPO・ボランティア、企業など様々な活動主体がそれぞれの役割を担いながら、地域福祉活動に参画できるよう、活動の担い手育成や活動の場づくりに重点的に取り組んだ。
新たに、地域福祉活動の次期リーダー層を対象とした実践型の研修会の開催や子ども支援に取り組んでいる団体との情報交換などにも取り組み、より幅広い事業活動の展開を図った。
(1)地域福祉活動推進のための担い手育成の強化
地域福祉活動においてリーダーやコーディネーター役を担うことが今後期待される人材等を対象として、複数のプログラムから自らの問題意識にあわせてテーマを選択し、地域の実情に応じた活動の進め方や課題解決に向けたアプローチ手法などを学ぶことができる「地域福祉実践力育成プログラム事業(地域のふくし応援塾)」を新たに実施した。
また、子ども食堂やサロン活動などを行っている団体を対象に実施したヒアリング調査等をふまえ、子ども支援を行う団体と地域の民生委員児童委員や地区社会福祉協議会(以下「地区社協」という。)などとの連携強化を図るため、2月に「せんだい子ども応援団体ネットワークミーティング」を開催し、子ども支援に関する現状や課題の共有などを通し幅広い支援団体同士のつながりづくりに取り組んだ。
ボランティア活動への幅広い層の参加を促進するため、区・支部ごとに傾聴やコミュニケーションなどの基本スキルの習得や、孤立した方の支援手法を学ぶなど多様な「地域ボランティア育成講座」を開催した。
また、老人福祉センターにおいては、区ボランティアセンターと連携して、高齢者がこれまで培った経験を活かし、福祉活動の担い手として地域に貢献するきっかけとなるよう「シニアボランティア養成講座」を開催した。シニア世代の活動者の増を目指した本講座であったが、受講後実際の活動参加につながった例は限定的であったことから、今後講座の持ち方や活動先の紹介などのアフターフォローをさらに工夫するなどの課題も明らかになった。
仙台市内企業の社会貢献・CSR活動に関する活動の実態を把握するため1,610社を対象にアンケートを実施した。327社(回収率20.3%)より回答いただいた結果、活動に対する認識は79.2%と高い割合であったが、現在取り組んでいる割合は41.9%で、認識と実際の取り組みに差が見られた。課題としては、人員的余裕がないなど、本業である会社経営との関係をあげた企業が多く、また、必要な支援では、活動を理解する機会、ボランティア情報や他社の取り組み事例を知りたい、企業同士が交流・連携できる場が必要などの意見も見られた。
今後は、アンケート調査報告書をまとめ対象企業へ結果を報告するとともに、情報共有や交流を目的に、事例集の作成、セミナーの開催など、本会と企業が連携して地域福祉活動の充実につながる必要な支援や仕組みづくりの検討に取り組むこととした。
(2)通いの場・集いの場づくりの推進
サロン活動など地域住民が気軽に集まり、仲間づくりや交流を深めあう活動は、参加者の孤立・孤独感の解消や閉じこもり防止効果等が期待できるとともに、支援者側にとっても地域内のさまざまな情報や課題等を直接見聞きできる貴重な場となっている。
これまでも多くの地区社協において小地域福祉ネットワーク活動の中心的な事業として展開されており、その活動に対する助成を行ってきた。このような地域における仲間づくりと交流活動の一層の拡大を図るため、共同募金の配分金を活用して、地区社協が主催する高齢者や障害者、子どもなどを対象としたサロン活動に対し、対象者の多様化の推進や活性化へ向けた助成の拡充を図った。
(3)地区社協活動推進の支援
地域福祉活動の主体を担う地区社協の活動がより充実するよう、区・支部単位で地区社協会長会議を20回開催し、地域特性に応じた課題解決のための方策について意見交換や議論を重ねた。この会議を通じ、サロン活動など小地域福祉ネットワーク活動を継続し、発展させていくことの重要性が再確認されたり、孤食の子どもや高齢者等への食事提供の必要性などの地域課題が共有され、サロン活動への助成の拡充や子ども支援などの展開にもつながった。
さらに、「地域力強化推進事業」として、区・支部ごとに2地区を協働推進地区に指定し、各区・支部事務所のコミュニティソーシャルワーカー(以下「CSW」という。)と地区社協の方々とが協働して、サロン活動や見守り活動の活性化、住民を対象とした研修などを重点的に行った。
地区社協活動を継続していくうえで課題となっている担い手育成については、新たな研修事業「地域福祉実践力育成プログラム事業」(再掲)を実施し、今後の活動を担う人材の育成を図った。
地域における活動拠点は、関係団体間の連携促進の場であるとともに、住民の困りごとを受け止め、解決に向けて知恵を出しあう場としての機能も期待できることから、活動拠点づくりの支援に取り組み、地域の活動がより促進されるよう環境整備を進めてきている。本年度は新たに4地区社協に対し設置助成を行ったほか、拠点のなかに試行的に相談所を設け、地域における課題等について住民からの相談に応じるなどの先駆的な成果も見られた。
なお、地域における家事支援や外出支援といった日常的な生活支援活動の実態を把握するため、太白区内の1地区を対象に実態調査を行った。この調査結果から、活動が活発な地域の特徴や支え合い活動に対する住民意識の差などが明らかになったとともに、今後住民が地域の実態をふまえて主体的に生活支援活動に関わることのできる「地域」に応じた支援を構築していくことの必要性が改めて確認できた。
(4)復興公営住宅のコミュニティ活性化に向けた支援
東日本大震災から6年が経過し、復興公営住宅への移転等、住まいの再建は着実に進んでいるが、新たな生活環境に応じた支援活動の継続が求められている。
本会では、復興公営住宅や同住宅を含む周辺地域における見守りや支え合い等の取組みを推進するため、助成を拡充するとともに、地域の関係者や関係機関と連携し、地域のコミュニティ活動を応援する「つなぐ・つながるプロジェクト」においては、自治会役員同士の情報交換会(8回)の開催、ニーズに即した支援団体とのマッチング(71件)など、新しいコミュニティの形成や活性化のための支援を行った。
その他、被災者が個別に抱える課題や孤立防止への対応のため、生活支援相談員による支援対象世帯への個別訪問を行い、関係機関と課題共有等に努め、被災者の生活再建の促進に向けた支援を行った。
2 多様化・複雑化する地域課題への対応
多様化・複雑化する地域課題の解決に向け、地域住民の主体的な取り組みを促進するため、市のモデル事業に取り組むNPOや地域団体等への支援や研修会の開催、また、新たに取り組む団体に対して立ち上げ支援を行った。生活困窮者自立支援では、支援を行う団体と協働し、支援活動の周知や相談から支援への流れの円滑化を図るとともに、本年度の地域福祉セミナーでは「地域共生社会の実現」をテーマに取り組みの必要性について関係者の共通認識を深めることに努めた。
(1)地域包括ケアシステム構築への取り組み
地域包括ケアシステム構築を視野に、介護予防・日常生活支援総合事業(以下「新しい総合事業」という。)における住民主体のサービスの拡充に向け、「住民主体による訪問・通所型生活支援モデル事業」に取り組む23の実施団体に対する支援や研修などを行った。各実施団体では、それぞれの特色を活かした事業に取り組んだが、これまで地区社協が行ってきた小地域福祉ネットワーク活動などの支え合い活動は、住民主体のサービスの基盤となる重要な活動であることがあらためて認識された。併せて、住民主体のサービスを広げるうえでは、その活動内容等について小地域福祉ネットワーク活動の生活支援活動との整理が必要であることも確認された。
また、多様な主体によるサービスを日常生活圏域ごとに整備できるように取り組んだ結果、サロン活動を実施する新たな団体を立ち上げることができた。
2つの取り組みを通じて、地域包括ケアシステムの構築に向けては、住民の力とそれを活かす支援を本会が地域包括支援センターと協力し、継続して行うことやその体制づくりの必要性を確認した。
本会CSWと地域包括支援センター機能強化専任職員(第2層圏域の生活支援コーディネーター)等を対象に仙台市地域包括支援センター連絡協議会(以下、「包括協」という。)と共催した研修会などにより、地域包括ケアシステム構築の重要な役割を担う第1層の生活支援コーディネーターを各区単位に配置することの必要性について共有でき、包括協等から仙台市への提言へとつながった。
(2)相談支援体制の強化
包括的な相談支援体制の構築に向け、生活困窮者自立支援事業の実施団体である一般社団法人パーソナルサポートセンターと覚書を取り交わし、潜在化している生活困窮者等を早期に把握するため、地区民生委員児童委員協議会など関係団体に対し協働して周知するなど制度理解の促進や制度活用につながる支援に取り組んだ。また、区・支部事務所において貸付相談から生活困窮者自立支援事業の相談窓口につなぐなどの取り組みを行った。
国が進める地域共生社会の実現に向け、CSWや本会が受託する地域包括支援センターの機能強化専任職員等とで事例等を通じた情報交換、意見交換を重ね、組織間の連携や地域における包括的な相談支援体制の構築について検討を行った。
また、多様化・複雑化している地域課題の解決に向け、必要となる分野を横断し総合的に受け止める相談体制、支援体制の構築について「『我が事・丸ごと』の地域共生社会の実現に向けて」をテーマに地域福祉セミナーを開催した。
(3)判断能力が十分でない方への支援
日常生活自立支援事業については、利用者の状況や国庫補助算定基準等の財政支援スキームが変更するなかで今後の事業のあり方等を検討するため、高齢者、障害者にかかわる各分野の関係者等で構成する「あり方検討会」を設置し、本事業目的の明確化や支援に必要な視点等、本事業の継続にあたって求められるあり方を主な論点として意見交換を行った。次年度も引き続き検討を深めることとしている。
成年後見制度への対応については、成年後見サポート推進協議会の事務局運営や成年後見セミナー開催等を通じた制度の普及啓発、市民後見人候補者への継続研修等を行うとともに、本年度新たに受任することとなった2名を含む10名の市民後見人の適切な後見事務のため本会は後見監督人業務を担った。
3 指定管理施設における確実な事業推進
各指定管理施設においては、施設の設置趣旨をふまえるとともに本会の特性を生かしたサービスの提供に努め、利用者や地域関係団体等の意見を反映した施設運営や行事を行った。障害者施設では、障害福祉サービスに従事する職員の資質向上及び専門性の向上を目的に、内部研修の充実に努めるとともに施設間の交流を深めた。
高齢者施設では、老人福祉センターとデイサービスセンターの一体的な運営によるサービス提供を目指し、従来の介護予防サービスから新しい総合事業へ移行した「生活支援通所型サービス」の導入に向けた検討を行った。なお、台原の高齢者施設は大規模改修工事により年央から休館となったため、台原デイサービスセンターでは、利用者の他事業所への引継ぎを支障なく進め7月で事業を休止し、台原老人福祉センターは、8月に仮事務所へ移転し、市民センターなどの会場を確保して各種講座の実施等を行った。
デイサービスセンターの経営状況は、職員体制が安定しなかったことや台原センターの休止などもあり全体として収支改善までには至らなかった。また、平成30年度介護報酬改定が厳しい内容になることが予想されたため、今後の適切な規模での運営についても検討を進めた。
老人福祉センターでは、リハビリマシンを使用した介護予防教室や認知症カフェ等の開催に取り組んだほか、ボランティアセンターと協働してシニアボランティアを養成した。
福祉プラザでは、大型ホールでのコンサート中の地震災害発生を想定した避難訓練を消防局と合同で開催するとともに、大規模災害時に館内に設置するボランティアセンターの機能強化と会議室等利用者への利便性向上のため、Wi-Fi設備を設置した。
4 社会福祉法人改革への対応と経営基盤の強化
社会福祉法の改正により社会福祉法人本来の責務とされた「地域における公益的な取組」については、地域の各法人の取り組みを促進するため昨年度に引き続き市内の法人役職員を対象としたセミナーを開催し、今後の法人間連携も視野に入れ、先行事例の紹介や情報交換を行った。なお、社会福祉充実残額を活用して地域公益活動を行う際に必要となる「地域協議会」については、該当する事案がなかったことから、その設置は次年度となった。
本会の経営基盤の強化に関して、会員会費の確保に向け、地区社協や町内会等から協力を得て、会員募集を行い、特別賛助会員数は前年度よりも増加したものの、普通会員数の減等により会費収入額は微減となった。
社協活動に対する市民の理解と参加のより一層の促進を図るため、広報紙「社協だよりせんだい」(年2回発行)の紙面の充実を図り、概ね全世帯に配布するなど、広報活動に努めた。また、職員の資質向上や士気高揚に関しては、給与の改定、労働契約法の改正を受けた無期転換の一部実施に向けた規則の整備や、階層や職種別、目的別に応じた研修体系の確立に取り組んだ。
なお、会計専門家の支援による内部統制強化については、支援内容やスケジュール等の条件が整わなかったことから、次年度にあらためて実施することとした。
平成29年度事業活動の状況【附属明細書】(1MB)
平成28年度事業報告
◆ 概要 ―重点事業の取り組み等―
Ⅰ.地域福祉活動の充実・強化
1.地域福祉活動計画の推進
第4次地域福祉活動計画(以下「第4次活動計画」という。)の推進にあたっては、住民や関係機関、団体が計画の趣旨・理念を共有し、それぞれの役割を担いながら協力し合っていくことが重要となる。
計画の初年度である本年度は、策定に関わった団体をはじめ関係機関、諸団体への周知及び広報に力を注いだ。特に、地域において中心的な担い手である地区社会福祉協議会(以下「地区社協」という。)、連合町内会や民生委員児童委員等には、各種会議等において説明の機会を設け、地域福祉活動の方向性を共有することに努めた。
11月には、第4次活動計画の理解促進と具体的な推進策を共に考えることを目的に「地域福祉セミナー」を開催した。セミナーでは、計画の副題「地域福祉の推進は、自分たちの未来をつくる」をテーマに、これからの地域福祉の推進に欠かすことができない集いの場や居場所についても取り上げ、250名を超える参加者とともに、地域福祉活動の意義を再確認した。
また、前計画である第3次活動計画の実績についても推進委員会において検証・評価を行い、それらをふまえて今後の事業推進に活かしていくこととした。
2.地域における福祉活動の充実
(1) 地区社会福祉協議会活動の推進
地域福祉活動の主体を担う地区社協の活動をより活性化し、事業の充実に向け、地区社協会長会議の組織的な位置づけを明確にするとともに、区・支部ごとの会議や連絡会を19回開催し、地域課題の共有や今後の社協活動等についての意見交換等を行った。
小地域福祉ネットワーク活動は、地区社協の中心的な活動として市内全ての地区社協(104地区)で取り組まれた。住民主体による助け合い活動をさらに推進するため、活動助成においても、地域課題や福祉ニーズに即して新たな活動の担い手の掘り起こしなどの活動を選択できるメニューも含めた構成に改めるとともに、本年度地域での活動拠点を整備した4地区社協に対して、設置助成を行った。
また、安心して地区社協活動への参画を促すことを目的に新設したボランティア保険加入に対する助成では、52地区1,659名に助成することができた。
なお、活動支援として次年度より共同募金の市町村域配分金を活用した新たな助成の仕組みについて検討を加えた。
(2) 地域福祉に関わる関係団体との連携促進
多様化・複雑化する地域の課題に対応するため、コミュニティソーシャルワーカー(以下「CSW」という。)を中心とした日々の活動のなかで地区社協や町内会、民生委員児童委員会等の地域団体から相談を受け、課題の共有や課題解決に向けた支援に取り組むことで、地域における諸団体との連携強化に努めた。
また、仙台市が開催する地域包括支援センター職員研修会のうち、地域支援をテーマとした3回や各地域包括支援センターが開催する担当圏域ケア会議にも積極的に参加し、地域包括支援センターをはじめ介護事業所や医療機関等とも連携を進めた。
(3) 被災者の生活再建に向けた支援
東日本大震災から5年が経過し、復興公営住宅への入居も進み地域 住民として自立した生活に移行するなか、被災者の生活環境の変化に応じた支援活動が求められた。支えあいセンターの生活支援相談員はCSWとの連携のもと、支援対象世帯の状況確認を目的とした訪問等を実施し、個別に抱える課題への対応や孤立防止などの支援に努めた。
復興公営住宅やその周辺地域を含む新たなコミュニティづくりでは、地区社協や町内会、関係機関等と連携し、同じ地域の住民の自主的な支え合いや助け合いが促進されるよう、活動助成の拡充を進めるとともに、復興公営住宅の入居世帯と自治会や様々な支援団体同士をつなぎ地域のコミュニティ活動を応援する「つなぐ・つながるプロジェクト」を立ち上げた。
また、支えあいセンター事業の立ち上げから今日に至るまでの活動を振り返り、記録誌「希望をつなぐ 明日へ」として取りまとめ年度末に発行した。
(4) 地域におけるコミュニティソーシャルワークの啓発と人材育成
コミュニティソーシャルワークやCSWの役割等については、地区社協関係者を対象とする各種研修の開催や、CSWが日常の活動を通して地域の方々と共に地域課題の把握やその解決に取り組んできていることにより、地域での理解は進んできている。
また、地域の人材育成では、小地域福祉ネットワーク活動研修会や地域福祉活動リーダー研修会を各々6回、地域福祉活動推進員連絡会を15回開催した。
人材育成の一環として、CSWと本会4地域包括支援センター職員も交えたCSW実践者研修会を3回、事例検討などを行うCSW担当者連絡会を5回開催し、グループアプローチによる多様な視点での課題の把握や効果的な対応及び手法などに関してCSWの支援スキル向上に取り組んだ。
なお、本年度新たに東北学院大学で開講された社会人を対象とした「CSWスキルアッププログラム」には、本会として企画や講師派遣等にも積極的に関与し、幅広い人材の育成に協力した。
3.地域福祉活動の担い手育成の強化
将来の地域福祉活動の担い手として期待される中高生等を対象に、キャップハンディ体験や夏のボランティア体験会を実施し、「支え合い」の大切さやその必要性を身近なものとして捉え、ボランティア活動への参加意識の醸成に取り組んだ。
さらに、シニア層のボランティア活動への参加を促進するため、新たな取り組みとして「シニアボランティア養成講座」を開催した。本年度は、高砂及び大野田老人福祉センターと市・区ボランティアセンターとが連携して開催し、高砂センターの受講者12名は区ボランティアセンターに登録し、大野田センターでは受講者24名によるボランティアグループが結成されており、今後の継続的な活動につなげることができた。
また、ボランティア活動者支援では、ボランティア同士の交流に加え、市民活動サポートセンターなど個別のボランティア活動を支えている中間支援組織6団体との交流会を開催し、情報提供の幅と活動の範囲を広げるため顔の見える、声を掛け合える関係づくりに取り組んだ。
Ⅱ.福祉サービスの質の向上
1.高齢者福祉サービス事業所の管理運営及び介護保険事業の実施
高齢者福祉サービス事業所の管理運営にあたっては、利用者も含めた運営委員会の開催等により利用者の意見を反映させた事業運営に努めた。
また、団塊世代を中心とする高齢者ボランティアの養成を目的として、高砂・大野田老人福祉センターでは、市・区ボランティアセンターや地区社協等と協力して、「シニアボランティア養成講座」を開催した。
デイサービスセンターにおいては、個別機能訓練計画に基づいた専門職による機能訓練や併設の老人福祉センター利用者が一緒に参加するレクリエーションなど、利用者ニーズに対応した運営に取り組んだ。
2.障害者福祉サービス事業所の管理運営及び障害者相談支援事業の実施
障害福祉サービス事業所の管理運営にあたっては、利用者の個性や支援の必要度・特性を踏まえた個別支援計画に基づいて適切なサービスの提供に努めるとともに、各種行事への参加や社会体験活動等を通して利用者に社会参加の機会を幅広く提供した。
加えて、泉障害者福祉センターでは、幅広い活動を視野に障害者に関わる福祉ボランティアの育成と支援に努め、泉ひまわりの家では、医療的ケアの必要な利用者の増加に適切に対応するため、看護師を中心とした支援体制の再整備を図る等、各施設において事業運営の充実・改善に取り組んだ。
障害者相談支援事業においては、利用者や家族にとってより良い生活に繋がるよう、福祉サービスの利用にとどまらず、幅広い視点で個々の利用者・家族の抱えている課題等の相談に応じた。
また、市・区障害者自立支援協議会の各種会議等への参加を通じて関係団体との連携を強化し、地域で生活する障害者の自立支援の仕組みづくりを推進した。
3.地域福祉活動拠点施設の運営
福祉プラザや社会福祉センターの運営にあたっては、市民や福祉団体の活動拠点としてのさらなる利便性向上を図るとともに、各種講座の開催、福祉情報の提供機能の強化等を通じて、地域住民の福祉に関する意識や関心を高める事業を行い、市民の福祉活動を支援した。
福祉プラザでは、来館者が自由に休憩や昼食をとることができる「休憩・交流スペース」を開設するとともに、認知症の当事者とその家族を支援するため、五橋地域包括支援センターとの協働で「認知症カフェ」を定期的に開催した。
社会福祉センターでは、地域住民・団体等に会議や研修など活動の場を提供するとともに、宮城センターでは地域特性を踏まえた「おたがいさまの子育てサロン」、泉センターでは利用登録団体を実行委員とした「センターまつり」など、地域福祉団体等と連携しながら各種行事等を開催した。
4.指定管理施設の適切な運営
本会が管理運営している指定管理施設のうち、本年度をもって指定期間 の満了を迎える11施設については、各施設のこれまでの運営状況や経営環境、募集要件等を総合的に検証し、本会の特性や役割を踏まえて策定した事業計画により申請を行い、全施設(公募4施設・非公募7施設)について引き続き指定管理者として選定された。
(1)公募施設 … 高砂老人福祉センター・高砂デイサービスセンター、郡山老人福祉センター・郡山デイサービスセンター
(2)非公募施設 … 台原老人福祉センター・台原デイサービスセンター、宮城社会福祉センター、泉社会福祉センター、泉障害者福祉センター、泉ふれあいの家、泉ひまわりの家
Ⅲ.権利擁護活動の推進
日常生活自立支援事業では、多くの相談(新規・継続)を受けて新規契約に向け調査に取り組んだが、本年度は最終的な利用契約に繋がらなかった件数が多かったことから、新規契約者数は前年度実績には至らなかった。
なお、近年の利用者数の増加傾向を考慮して、登録生活支援員の配置を見直し、移動距離を短縮するなど効率的な事業運営に努めた。
成年後見制度支援事業については、複合的な課題を抱えた相談が増えており、制度理解についての啓発や申立のための支援など、本会が担う役割は、より一層重要となってきている。
市民後見人の受任は、2件増え延べ15件となったが、本会はその後見監督人として、市民後見人の活動が適切に行われるよう指導・確認を行った。
Ⅳ.新たな課題への対応
1.地域包括ケアシステム構築への取り組み
現在地区社協が取り組んでいる小地域福祉ネットワーク活動をはじめとする具体的な活動の現状や、介護予防・日常生活支援総合事業との関連等について、仙台市と意見交換を行った。
また、介護予防・日常生活支援総合事業に関連して、新たなサービスを検討するため仙台市が平成28年11月からスタートさせた「住民主体による訪問・通所型生活支援モデル事業」では、事業に取り組む地区社協やNPOなどの活動状況について、CSWを中心にその把握・分析に努めた。
2.生活困窮者自立支援制度への対応
生活困窮者に対する自立支援については、総合的な相談や就労準備支援 を仙台市から受託している団体と連携しながら、本会としては、各種貸付制度の利用に関する相談等を通じ、制度を活用して生活再建が図られるよう、生活困窮者に対して必要な情報の提供や、受託団体が主催する連絡会に定期的に参加し、情報共有を図りながら現状把握を行ってきた。
次年度以降、本会がこの事業との関わりを強め、地域団体への周知・広報など取り組みを充実することについて、受託団体との間で協議を行い、一定の方向性を確認した。
3.社会福祉法人制度改革への対応
社会福祉法人制度改革において、社会福祉法人には地域における公益的な取組みが責務として位置づけられた。
これに関連して、地域の社会福祉法人として共通認識を持って対応するため、本会が市内社会福祉法人に呼びかけ、基本的な知識の習得と情報交換を目的として、平成29年2月にセミナーを開催した。セミナーには、30法人から59名の参加があり、児童、障害、高齢といった法人の種別を超えて活発な意見交換が行われ、今後、新しい課題に対して各法人が連携して取組むきっかけとしても意義のあるものとなった。
Ⅴ.経営基盤の強化
1.組織機能の強化
(1) 法人運営の強化
社会福祉法改正に伴い、評議員会・理事会の権限等を明確にするとともに、評議員及び役員の定数や選任区分を見直すため、定款及び関係諸規程の改正を行い、社会福祉法人としてガバナンス強化を図った。
また、若手職員を中心としたプロジェクトチームを立ち上げ、本会の業務運営上の課題や、今後取り組むべき事業選択のあり方などについて意見交換や検討を行った。今後さらに検討を加えて、具体の事業運営に反映させていくこととした。
(2) 職員の資質向上の促進
職制や職務に応じ、内部研修をはじめ仙台市や全社協等が主催する研修等への参加、仙台市への研修派遣、先進社協への業務視察等のほか、職務に関連する資格等の取得支援を行った。
特に、社協職員の基本的なスキルとして、多くの職員がコミュニティソーシャルワークに係るスキルを習得することをめざして、継続してCSW基礎研修を実施するとともに、東北学院大学の「CSWスキルアッププログラム」に7名の職員を1年間受講させるなど、職員の資質向上、人材育成に努めた。
(3) 広報活動の強化
平成27年の組織統合をふまえて、これまで区(支部)社会福祉協議会ごとに発行してきた「社協だより」を一本化し、「社協だより せんだい」として年2回発行した。創刊号及び第2号では、本会の平成28年度事業計画の概要、第4次活動計画の概要及び本年度の取り組み、小地域ネットワーク活動や地区社協活動、復興公営住宅建設地域での地域住民による支え合い活動等を紹介するとともに、区・支部ごとのページでは地域に密着した福祉情報を掲載するなど、本会活動の周知に努めた。なお、ホームページについても一本化を行った。今後その内容の充実に努め、発信力の強化を図ることとしている。
2.財務基盤の強化
会員の獲得については、引き続き地区社協や町内会等の全面的な協力をいただき、市民への呼びかけを行うとともに、新たに経済団体の協力のもと企業等に対して社協活動のPRなど働きかけを強化した。新たに50社余の法人会員の加入を得たが、会費収入としては前年並みの実績となった。
また、報酬のマイナス改定の影響を受けた通所介護事業等については、併設施設の協力体制を強化しながら、年央よりサービス提供時間を延長し増収策を講じるとともに、職員配置の見直しや事務経費削減等に取り組み、計画を上回る収益改善の実績をあげることができた。
平成27年度事業報告
◆ 総括
本会は、平成27年4月1日に各区社会福祉協議会(以下「区社協」という。)と組織統合し、地域社会及び住民にとって身近な存在として期待される役割をより着実に果たすべく、地域の福祉活動の推進に努めた。また、理事会・評議員会等の開催を通して、事業の進捗及び経営の状況について認識を共有できる執行体制を確保するとともに、各区社協のこれまでの活動を尊重し、区内の事務事業等について協議を行う委員会組織(名称「○○区社会福祉協議会」)を設置した。
地域福祉推進の要である地区社会福祉協議会(以下「地区社協」という。)への活動支援としては、コミュニティソーシャルワーカー(以下「CSW」という。)が中心となり、小地域福祉ネットワーク活動や地域福祉活動推進のための拠点づくり事業等を活用しながら、住民主体による見守り、支え合いの仕組みづくりを推進した。地域の課題解決に当たっては、町内会・地区民生委員児童委員協議会(以下「地区民児協」という。)や区役所をはじめとする行政機関等との連携を進めた。
また、住民をはじめ町内会や民生委員児童委員、関係行政機関等の関係者が地域福祉活動に取り組むためのガイドラインともいうべき「第4次地域福祉活動計画」(平成28~32年度の5ヶ年計画)を策定した。今後は、その周知・実践が求められている。
地域包括ケアシステムの構築に向けては、生活支援コーディネーター研修を定期的に行い、活動の基礎的理解と技術の向上を図るとともに、CSWとの交流による本会と地域包括支援センターとの連携に基づく地域支援体制の構築に努めた。
一方で、東日本大震災から5年が経過し、被災者の復興公営住宅への入居が進み、新しい地域での生活が定着してくるなど、着実に復興が進んできたことがうかがえる。本会では、復興公営住宅建設地域において、住民の主体的な支え合い活動を促進するため、地域団体同士が支援について考える場を作るなど、サロン活動や見守り活動等の支援を継続的に行った。また、みなし仮設住宅(借上げ民間賃貸住宅・借上げ公営住宅)や復興公営住宅入居世帯への訪問・相談活動を通じて必要な行政サービスにつなげるなど、被災者が孤立することなく安心して暮らせるようその支援に取り組んだ。
ここ数年逓減傾向にあった会費は、増強に取り組み、平成26年度に比べ若干ではあるが増加し、貴重な活動財源を確保することができた。なお、指定管理施設である大野田老人福祉センターについては、今までの実績に加えシニアボランティアの育成や介護予防に関する事業等の提案を行い、引き続き平成28年度から5年間指定管理者として指定を受けた。
◆ 重点事業の実施状況
1 地域における支え合い体制づくりの更なる充実強化
CSWを中心に、地域福祉活動で必要となる人材育成や知識習得のための研修会、企画・アイデアにつながる連絡会や懇談会等の開催に努めるとともに、地域福祉活動をサポートする他機関・ボランティア団体等とのコーディネートに加え、地区社協の活動費や拠点整備への助成を行うなど、それぞれの地区社協に適した活動環境づくりへの支援を継続して行った。また、活動体制を強化するため連合町内会、地区民児協など地域諸団体との連携を構築する会議等を設けた。
また、本年度の重点的な取り組みとして、活動開始から20年を迎えた小地域福祉ネットワーク活動の更なる活性化を目指して、地区社協会長、地域福祉活動推進員及び学識経験者など事業推進関係者で構成する「検討会」を設置し、これまで活動の定着を目的に取り組んできた内容を一歩進めて、地域の実情に応じた地域課題の解決を目的とする選択メニューを設けるなど、具体的な課題解決を目指す助成体系へと見直しを行い、併せて小地域福祉ネットワーク活動推進ガイドブック改訂版を作成した。
2 復興公営住宅建設地域における福祉活動の推進
復興公営住宅への入居が本格化(平成26年度入居開始11ヶ所、平成27年度20ヶ所)するなか、引き続き当該住宅建設地域をコミュニティ形成に向けた重点支援地区と定め、CSWによる支援を行った。入居世帯への支援としては、支えあいセンターによる状況確認訪問を実施して、支援が必要な世帯について行政やCSWと情報共有し、個別課題への対応と孤立防止に努めた。
また、CSWの働きかけにより、支援者の組織化(支援者会議等)、活動助成金の交付、支援団体のコーディネートなどの環境整備やサロン活動などを通じて交流を促進した。さらに、地区社協や民生委員児童委員等と協力して、サロン等の参加者や設立された自治会自らが主体となった、新たな見守り活動の立ち上げや、ウエルカムイベントや作品展等交流行事の開催など、住民相互のつながりの構築を目指した支援を行った。
3 福祉活動の担い手の拡充
少子高齢社会の中、地域包括ケアシステム構築の推進や地域からの孤立者支援等、地域における新たな課題が生まれているが、一方で地域福祉活動を支える担い手不足も大きな課題となっている。
本会では、平成26年度に実施した「福祉活動に関する実態調査」や仙台市の「町内会等実態調査」で、活動メンバーの不足、住民の地域への関心の低さ等の課題が明らかになったことを踏まえ、「第4次地域福祉活動計画」の策定においても、担い手不足の解消のための取り組みを重要な柱とし、市民一人ひとりが自らの意思で参加することを目指すとともに、地域団体、ボランティア及び関係機関等に期待する役割を明らかにした。
ボランティアの育成に関しては、ボランティア育成講座の開催により地域の活動者の育成に努めたほか、地域の福祉課題を住民が主体となって解決できるよう、ボランティアのマッチングやボランティア団体等活動支援を行った。また、本年度も地域福祉活動を支える幅広い世代を対象に「夏のボランティア体験会」を開催し、特に若い世代がボランティア活動を始めるきっかけづくりの場を提供し、その体験を通じてボランティア意識が醸成され、その後の継続した活動につながるよう、長期的視点から福祉活動を担う人材の養成に努めた。
さらに、団体対象の「せんだいボランティアミーティング」や個人の活動者対象の「仙台市ボランティア交流会」を開催し、住民が自発的で多種多様な地域福祉活動を進めることができるよう、活動者同士の連携を深める場を提供した。
4 新たな地域福祉課題への対応と各種団体との取り組み促進
介護保険法改正により地域包括ケアシステム構築の推進が示され、市内の地域包括支援センターの半数にあたる25ヶ所に機能強化専任職員が配置された。本会としても、地域福祉を推進する観点から、地域包括ケアシステムの構築には積極的に関わり、主要な役割を果たしていく必要がある。
このため、地域包括支援センター職員等を対象としてCSWとの連携促進や共通認識の醸成を図り、地域包括ケアシステム構築の推進に協力して取り組む土台づくりを目指して、仙台市地域包括支援センター連絡協議会との共催で生活支援コーディネーター研修会を5回にわたり開催した。これにより、地域包括支援センター職員とCSWとが顔の見える関係を構築し、会議や研修会への相互参加や企画段階での相談、地域情報の共有など連携を深めることができた。
本会が運営する高砂地域包括支援センターでは、新たに、配置した機能強化専任職員と宮城野区事務所CSWが連携して、地域資源アンケート(高砂地区の各民児協の協力)、地区住民懇談会開催などモデル的な取り組みも行った。
また、社会的孤立などの課題に対しても、住民が主体的に参加し、地域の関係機関や団体と連携しながら取り組むことが求められている。本会では、本年度市民児協が各区においてモデル事業として取り組んだ孤立しがちな高齢者に対する地域での支援のあり方の検討について、CSWを中心に協力した。今後こうした取り組みの実践や拡大に向けて検討を深めていくことが必要である。
5 第4次地域福祉活動計画策定
平成28年度から5ヶ年を計画期間とする第4次地域福祉活動計画を策定した。
策定にあたっては、様々な地域福祉、福祉活動に関わる17名の委員による策定委員会を組織し協議を重ねるとともに、地域支援に必要な視点やニーズ等の検討を深めるためのワークショップの開催やパブリックコメントを実施した。また、同時期に策定を進めていた仙台市の行政計画である第3期地域保健福祉計画策定作業と歩調を合わせ、課題やニーズ把握を共同して行うなど、官民の連携に配慮した効果的な地域福祉推進を目指した計画づくりに取り組んだ。
本活動計画では、第3次活動計画で推し進めてきた「様々な団体と課題等を共有し、連携・協働により解決を図る」取り組みを基本としながら、今一度地域の助け合い・支え合いの重要性を確認し、東日本大震災の支援で行われた地域の絆づくりなど、様々な実践成果や経験により高まった地域福祉への貢献意欲を日常の地域福祉活動へつなぐこととした。その上で、一人ひとりの市民、様々な活動主体がそれぞれに役割を担い、主体的に参加・行動を起こすなど役割を果たしていくための行動計画として策定することができた。
6 権利擁護事業の推進
認知症高齢者、知的障害者及び精神障害者などの判断能力が十分でない方を対象とする日常生活自立支援事業は、高齢化の進展などによる利用対象者の増加に伴い、利用に至るまでの待機者も増加してきている。そのため、サービス向上を目的として職員による業務検討委員会を設置し、利用相談からサービス提供までの期間の短縮を図るべく手続き等を見直し、前年度と比較して契約件数を6割程度増やすことができた。
本事業に対する国の補助金の算定方式が変更され、増加するニーズに対応した財源確保が難しくなってきており、今後の事業運営にあたっては、関係機関の間で役割分担等を再整理するなど根本的な体制の見直しが必要になってきている。
また、市民後見人については、第一期の養成研修修了者のほとんどが市民後見人として受任するなど実績を上げてきている。親族以外の第三者後見人が増えている状況を踏まえて、第二期の養成研修を行い、最終的に27名の市民後見人受任候補者を養成した。
7 法人経営・機能の強化
法人組織と会計の一本化に伴い、より適正な業務執行体制の確立と内部統制機能の強化を図った。特に、理事会・評議員会において上半期の事業活動及び予算執行の状況について中間報告を行い、また、理事間での闊達な意見交換による事業立案への反映・区毎の委員会組織の設置など、事業運営の透明性等の確保に努めた。併せて新会計基準による経理処理に移行した。
自主財源の確保については、会費収入が前年を上回る実績をあげることができた一方、通所介護事業は、介護報酬のマイナス改定や利用者の減少等により収益が悪化し、営業活動の強化等収益改善の努力により下半期やや持ち直したものの厳しい決算となった。
広報活動については、組織一体となった取り組みの一環として、これまで区社協毎に発行していた社協だよりを一本化し、新たに全市版の社協だよりの作成に着手するとともに、ホームページにおいても地区社協等の活動紹介や寄附金等の新着情報を随時掲載するなど、本会のPRに努めた。
職員の人材育成においては、新人、中堅、管理職等の職階別やメンタルヘルス、クレーム対応等のテーマ別の研修を行うとともに、全国社会福祉協議会等関連団体が主催する研修に計画的に職員を参加させ資質向上に努めた。特に、社協職員として持つべきコミュニティソーシャルワークに関する基礎的な知識を習得し実践への活用を図るため、新たにCSW基礎研修を実施した。
平成27年度事業活動の状況 (PDF:1022KB)
平成26年度事業報告
Ⅰ 総括
東日本大震災から4年目となる平成26年度においては、復興公営住宅の建設整備が本格化し、入居が進むなど、新しい地域での生活再建への着実な歩みが見られた。本会では、本市の復興事業の進捗に合わせ、被災された方々に対し、これまでの支援に加え復興公営住宅へ入居された方々ができるだけ円滑な日々の生活を送れるよう中核支えあいセンターによる定期訪問を開始するなどの支援を行った。また、区・支部事務所のコミュニティソーシャルワーカー(以下「CSW」という。)を中心に、整備地域における支援体制の構築や地域マップの作成、ウエルカムサロンの開催等に取り組んだ。こうしたことは、被災された方々が新しい地域の行事に参画する契機になり、さらには地域の見守り活動やサロン活動など地域住民協働による「地域コミュニティづくり」につながったところである。 各地域における福祉活動については、CSWが中心となり、町内会や地区社会福祉協議会(以下「地区社協」という。)、地区民生委員児童委員協議会及び区役所などの関係機関と連携を図り、課題解決に向けた取り組みを進めた。また、新たな地域福祉課題への対応としては、仙台市民生委員児童委員協議会(以下「市民児協」という。)が平成27年度に計画している、孤立しがちな高齢者を地域で支えるモデル事業の企画検討に参画し、新たな課題解決に向けた事業構築の支援に努めた。さらに、地域包括ケアシステムの本格実施に向けては、本会がこれまで培ってきた地域福祉活動が活かされるように検討を行った。 地域福祉活動の担い手不足という課題については、ボランティア活動団体や中間支援組織相互の交流の場を設けるとともに、引き続き夏のボランティア体験会を開催することにより、地域福祉活動への参加や活動の充実を促した。権利擁護事業においても、成年後見制度の着実な推進に取り組み、新たに5人の市民後見人が誕生した。 第3次地域福祉活動計画の進捗管理については、本会が実施すべき事業の着実な進展と評価はもとより、地域福祉活動の実態を把握するための調査を行い、活動の成果及び課題の抽出に努めたところである。平成27年度も引き続き調査を行い経年変化の状況も踏まえ第4次活動計画策定につなげる予定である。 仙台市福祉プラザの管理運営に関しては、本会がこれまで市民の福祉活動の拠点である「福祉プラザ」の機能充実に向けて取り組んできた実績と今後の運営計画が評価をいただき、仙台市より平成27年度から平成31年度までの5ヶ年間についても指定管理者として指定を受けることができた。 本会の組織運営については、社会福祉協議会を取り巻く厳しい社会経済状況を受け、法人組織の強化を図り、地域福祉事業を引き続き安定的に運営していくため、各区の社会福祉協議会との合併並びに一体化を行うとともに、平成27年度からの新会計基準への円滑な移行のために、会計事務の見直しや関係規程の改正を行った。
Ⅱ 重点事業の実施状況
1 地域での支えあい活動の推進と新たな地域福祉課題への取り組み
地域住民同士の支えあい活動である小地域福祉ネットワーク活動をはじめとする地区社協の活動は、地域福祉の基礎的かつ重要な活動であることから、その推進と充実に努めてきた。 平成26年度は、小地域福祉ネットワーク活動における課題整理と今後の取組みについて、仙台市及び本会担当職員によるワーキンググループを設置し、福祉委員や地域福祉活動推進員のあり方、CSWの関わりなどの検討を進めたほか、小地域福祉ネットワーク活動費に関わるアンケートを実施して実態把握を行った。さらに、地域福祉活動とも密接に関係する平成27年度からの介護保険制度の改正についての研修会を地区社協会長等を対象に開催し、今後の地域福祉の方向性について共通認識を深める場を設けた。 これらを踏まえ、平成27年度は、地区社協会長、地域福祉活動推進員及び学識経験者13名を構成員とする「小地域福祉ネットワーク活動推進検討会」を設置し、助成体系やさらなる活動の充実に関して必要な事項について審議を行うこととしている。 また、復興公営住宅整備地域における支援においても、CSWを中心に民生委員児童委員、町内会、地域包括支援センター、行政機関及び学校等多様な活動主体や機関に対して、地域の支えあい活動への参加や連携などを促進した。 さらに、新たな地域福祉課題への取り組みとして市民児協が平成27年度に計画している、孤立しがちな高齢者を地域で支えるモデル事業の企画検討に参画し、新たな課題解決に向けた事業構築に向け支援を行うとともに、地域包括ケアシステムの本格実施に向けては、本会がこれまで培ってきた地域福祉活動が活かされるよう検討を行った。
2 復興公営住宅整備地域での地域福祉活動推進支援
各区・支部事務所では、復興公営住宅の整備が予定されている地域への重点的支援として、CSWが中心となり、周辺住民による入居者支援のための組織づくりに向けた各種会議の開催を支援し、ネットワークづくりや地域活動を担う人材の有機的な連携を促進させる取り組みを行った。 また、住民同士が話し合える場づくりをはじめ、地域マップの作成、交流イベント及びサロンの開催など、入居者自身も積極的に協力でき、さらに主体的に企画できるよう、支援者による活動への支援を行った。 このような支援を通して、復興公営住宅の入居者により新たな自治組織が設立され、福祉委員の選出や見守り活動へ参加する事例も生まれるなど、被災者という枠から地域住民同士という意識での交流の促進に向けた働きかけが実を結んでいる。
3 ボランティアのネットワークづくりと担い手の拡大
ボランティア活動においては、ボランティア活動者同士の交流の場が少ないことや担い手不足が長年の課題としてあったことから、ボランティア活動を行っている団体を対象に「仙台市ボランティアミーティング」を開催し、団体同士のネットワークの構築や協働のきっかけづくり及び活動の活性化を図った。 また、市内のボランティア・市民活動団体に関わる「中間支援組織」同士のネットワーク会議を2回開催し、総合的な支援体制に向けての情報の交換や取り組み事例等についての紹介などを行った。年々お互いの活動内容を理解しあい、つながりも強化され、さまざまな意見、情報の交換が気軽に行える関係が生まれてきている。 担い手の拡大については、中学生以上を対象とした夏のボランティア体験会を開催し400名を超える参加があった。体験後のアンケート結果では、96.3%の方より「大変満足」「満足」との回答が得られており、体験会の継続実施はもとより体験後も継続的にボランティア活動に関われるよう、情報提供などの支援に努める。 第3回国連防災世界会議の関連事業として災害ボランティアフォーラムを開催し、都市部での災害ボランティア活動の事例などから、日常からの住民同士の支え合いや助け合い活動の重要性が改めて確認できた。
4 権利擁護事業の推進
日常生活自立支援事業では、利用を希望される方の増加に応じて、すみやかなサービス提供を図るため、区を越えて柔軟な利用受け入れ等に努め、昨年度を上回る74人の新規契約となった。また、様々な生活課題を抱える利用者のニーズに対応するため、関係機関との連携をさらに密にしネットワークの強化に努めるとともに、専門員等を対象とした研修による専門性の向上や業務マニュアルの整備を行った。 市民後見人養成・支援事業では、関係機関に対しその役割や必要性について強くアピールしたことなどにより、新たに5人の市民後見人が誕生した。あわせて市民後見人への支援と事業監督に関する内部体制についても整備を図った。 また、本会が事務局を担当する仙台市成年後見サポート推進協議会では、数次にわたる検討を経て、『市民後見人あり方検討報告書』として、市民後見人の支援体制や財源、次期養成等の必要性について広く提言した。
5 第3次地域福祉活動計画の推進と次期計画の策定準備
本会の地域福祉活動計画は、住民がどのように行動して地域福祉を推進していくのかというガイドライン的な計画であり、現在第3次地域福祉活動計画(平成25年度~27年度)に沿って事業を進めているところである。 この第3次地域福祉活動計画の実施状況の分析、検証などを行うため、「地域福祉推進委員会」を設置するとともに、各団体の地域福祉活動の実態を把握し、第3次地域福祉活動計画の今後の推進及び次期計画の策定に活かすことを目的に、郵送によるアンケート調査及びヒアリング調査も実施し、「仙台市域における福祉活動に関する実態調査(第3次地域福祉活動計画平成25年度活動調査)報告書」としてまとめた。アンケート結果等からは、地域における人のつながりの希薄化、活動者不足や固定化、災害時要援護者への関わりや支援、他団体や機関との連携や協働の体制、仕組みづくり等が課題として挙げられた。 平成27年度も同様の調査を行い、この結果も踏まえて第4次地域福祉活動計画策定に反映させていくこととしている。
6 新会計基準への移行及び法人組織の再編による社協の運営基盤強化
社会福祉法人を取り巻く社会経済状況の変化を受け、法人組織の強化を図り、地域福祉に関する事業を安定的に推進するための体制づくりに向け、社会福祉法人仙台市泉区社会福祉協議会との合併、青葉区社会福祉協議会、宮城支部、宮城野区社会福祉協議会、若林区社会福祉協議会及び太白区社会福祉協議会との組織一体化に向けた協議を進め、平成27年4月1日に新たな組織としてスタートすることとなった。 また、社会福祉法人新会計基準(以下「新会計基準」という。)への移行に関しても、経理規程の改正をはじめ、会計システムの一元化などの諸準備に取り組み、新会計基準による平成27年度予算編成を行った。 今後も厳しい財政運営が予想されることから、会費及び寄附金等活動財源の確保に努めるなど財政基盤の強化を図るとともに、一層効率的な法人運営に取り組んでいく。
平成26年度 事業活動の状況(PDF:663KB)
平成25度 事業報告
東日本大震災から3年余が経過し、復興公営住宅への入居も一部で始まるなど、生活再建に向けた動きが本格的段階に入った。
本会は、被災者の生活再建支援として、引き続き中核支えあいセンターによる借上げ民間賃貸住宅入居者に対する訪問活動やサロン活動等を行ったほか、「復興支援“EGAO(笑顔)せんだい”サポートステーション」によるボランティアの受け入れや派遣調整など地域の支え合い活動の促進に向けた地域支援を仙台市や地区社会福祉協議会、民生委員児童委員協議会など関係機関・団体と連携しながら積極的に展開した。
特に、喫緊の課題である復興公営住宅における見守りと支えあいの体制づくりについては、建設される地域を重点支援地区に設定し、「第3次地域福祉活動計画」に基づき各区事務所に配置したコミュニティソーシャルワーカー(以下、「CSW(シーエスダブリュー)」という。)を中心に地域の実態把握や研修会、福祉懇談会等の開催支援、支援者会議の開催などに取り組んだ。
また、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者等の判断能力が低下した方を対象とする日常生活自立支援事業は、依然としてニーズが高い状況が続いている。平成21年度から養成を開始した市民後見人は、受任促進とそれに伴う後見監督業務を本会が担い、仙台家庭裁判所など関係機関と調整を図った結果、平成25年度は3名が選任された。
なお、平成25年度に掲げた重点事業の実施状況は、以下のとおりである。
1 地域福祉の推進に向けた「第3次地域福祉活動計画」の実施
本会では、東日本大震災での多くの経験を踏まえ、被災者支援と住民主体による地域福祉の取り組みをさらに進めるための活動指針となる「第3次地域福祉活動計画」を平成25年3月に策定した。この計画は、本会が地域福祉の推進役となり、地区社会福祉協議会や町内会、民生委員児童委員協議会等の関係機関・団体がこの計画の基本目標や施策の方向性について共通認識を持ち、それぞれの役割を担いながら、連携・協働して地域福祉の推進を目指していこうとするもので地域活動のガイドライン的な性格を持っている。
平成25年度はこの計画の実現に向け、計画の実施期間である平成25年度から27年度の進捗管理及び評価作業を行う「第3次地域福祉活動計画推進委員会」を設置するための準備を行った。また、地区社会福祉協議会長会議や研修会、仙台市民生委員児童委員協議会理事会、仙台市連合町内会長会などに出向き、地域福祉活動の担い手へ丁寧な説明を行うなど活動計画の理解促進を図り、連携して活動を推進する環境づくりに努めた。
今後は「第3次地域福祉活動計画推進委員会」を中心に関係機関・団体等へのアンケートや事例調査を行い、分析・評価した結果や成果を地域へ還元する方法などを検討していく。
2 コミュニティソーシャルワーカー(CSW)による地域支援の推進
日常的に地域の状況を把握し、地域の福祉的課題解決やより良い地域社会づくりに向けた活動を支援し、地域の力や関係者のネットワークで解決を進める役割として各区・支部事務所に合計11名のCSW(正職員)を配置した。
平成25年度は、仙台市が復興計画期間中の取り組みであることを踏まえ、復興公営住宅が比較的早期に建設される7つの地域を重点支援地区と定め事業を推進した。CSWは、地域の実態把握をするための調査活動をはじめ、被災者支援の必要性を理解いただくための研修会や福祉懇談会の開催、住民主体の活動を進めるための支援者会議やネットワーク会議の開催、サロン活動の開催支援などに取り組んだ。これらの取り組みによりCSWは、地域の担い手を結びつけることで活動の推進を図ったり、支援にあたっての課題整理をするなど地域の方が活動しやすいようにコーディネートを行い、地域を基盤とした見守り・支えあい活動による復興公営住宅における孤立防止に向けた体制整備を進めた。
また、日常的に重点支援地区以外の町内会や地区社会福祉協議会関係者、民生委員児童委員等から日常の地域福祉活動における相談に応じ、地域の多様な福祉課題の解決に向けた支援を行った。
3 安心の福祉のまちづくり支援事業の実施
被災者支援事業の一環として「復興支援“EGAO(笑顔)せんだい”サポートステーション事業」「地域支えあいセンター事業」と併せて、地区社会福祉協議会中心に長期的な視点で被災した住民の生活課題解決に向けた継続的な支え合い活動が促進されるよう震災後に創設した「安心の福祉のまちづくり助成金」の交付による支援に努めた。
この助成金は、被災者・要援護者の生活課題などに対し地域の助け合いで支援する活動や震災を契機に顕在化した地域課題の解決のためコミュニティの再生・強化を目的とした活動を助成対象としている。助成対象となった事業の計画立案にあたっては、地域の方々とCSWが協力するなど地域と本会が一体となって取り組んだ。
具体的な事例としては、関係機関・団体が連携した借上げ民間賃貸住宅入居者や地域住民などを対象としたサロン活動の開催、お祭りなどイベントによる地域交流の場の設定、災害時における安否確認体制の整備などの取り組みが見られた。
4 地域支えあいセンター事業の実施
本事業は東日本大震災の影響により住宅を失った被災者の内、市内の借上げ民間賃貸住宅に入居する世帯を対象に、生活再建促進を目的とした支援活動を平成23年12月から展開してきた。
平成25年度は「孤立を防ぐ」、「生き甲斐を育む」、「豊かなかかわりを生み出す」ことをねらいとして、被災世帯の生活課題や福祉ニーズに対応するため、各区に設置した常設支えあいセンターで相談受付(193件)を行ったほか、個別訪問による各種支援情報の提供や安否確認(延べ訪問回数7,462回)、地域住民や被災者同士の交流サロン・イベントの開催(主催回数399回、延べ参加者7,019名)等の支援活動に努めた。
また、仙台市の復興公営住宅の整備が進むとともに、仙台市から情報提供を受けている借上げ民間賃貸住宅からの退去世帯も約3割に達し、自力再建する世帯が増えつつある。一方、住まいの再建方針が定まらない、健康面に不安がある、生活資金の確保が難しいなどの課題を抱える世帯が増えていることから、各世帯が早期に仮設住宅退去後の生活の見通しを持つことができるよう仙台市主催の被災者生活再建支援連絡調整会議(12回)及びワーキンググループ(55回)を通じたきめ細かい支援体制づくりに努めた。
5 ボランティアネットワークづくり推進と福祉人材の育成
ボランティア・市民活動を推進するネットワークづくりのため、市民活動にかかわる仙台市市民活動サポートセンターや大学ボランティアセンター、中央市民センター等の参加を得て「ボランティア・市民活動ネットワーク会議」を開催した。各機関が互いの事業内容等について理解を深めることで市民への情報提供の質を高めたほか、メーリングリストの活用により各機関の主催事業やイベント等について迅速な情報共有ができる仕組みづくりを行った。
また、震災以降活発になった学生のボランティア活動や企業の社会貢献活動を踏まえて「第16回ボランティアフォーラム」を開催し、継続的活動につながるよう啓発した。
さらに、「夏のボランティア体験会」(対象:中学生以上)は、従来の福祉施設における体験だけではなく、地区社会福祉協議会やNPO等が実施しているサロン活動など、地域における活動体験もできるよう多様なニーズに対応した。このほか、各区CSWとの共同企画による地域の福祉ニーズを踏まえた「ボランティア育成講座」を開催し、今後につながる福祉人材の育成に努めた。
「復興支援“EGAO(笑顔)せんだい”サポートステーション」では、個人でのボランティア参加のほか、社会貢献活動の一環として被災者を対象にしたイベントやプロジェクト等に取り組む企業や学校関係者からの相談が寄せられ、ボランティアの受け入れや派遣調整などを行った
6 権利擁護事業の推進
日常生活自立支援事業では、300件近くの相談が寄せられ依然としてニーズの高さが伺われた。関係機関と連携を図りながら、適正な利用対象者の選定と他サービスへの利用調整を図った結果、54件の新規契約が可能となり利用者数が319名となった。区ごとの相談件数に格差があり変動も見られることから、柔軟な調整が求められている。
新たな第三者後見人として期待されている市民後見人については、昨年度3名が選任され、これまで6人の市民後見人が誕生し、本会もそれぞれの後見監督人に就任している。こうした実績を踏まえ、仙台市成年後見サポート推進協議会の協力を得ながら、「市民後見人あり方検討部会」を4回開催し、課題の検討及び今後の方針について協議を重ね、次期養成研修開催の方向性を示した。
7 経営計画に基づく法人基盤の強化
本会の経営計画は、平成23年8月、概ね今後10年を展望し本会事業の指針を示すことを目的に策定した。
この経営計画を具体化していくため、平成25年5月、個別事業における達成目標を示した「実施計画」を策定した。この実施計画は、経営計画で掲げた基本方針ごとの方向性に沿った計画期間(平成25~27年度)における各事業等の達成目標を数値化したものである。平成25年度は、各事業等を実施計画に基づき行うことにより経営計画における基本方針の達成に向けた取り組みを進めた。
また、内部監査の実施や仕様を同じくする事務機器等の一括契約、Web広告の募集など予算の適正な執行管理と自主財源の確保に取り組んだほか、計画的な研修派遣等による職員の人材育成を行った。
今後も会費収入の逓減など厳しい経営環境が続くことが予測されることから法人基盤の強化を進め、そのことによって市民福祉の向上に向けた取り組みを一層安定的に推進していく。
平成25年度 事業活動の状況(PDF:624KB)